FALL/WINTER 2023 RUNWAY SHOW

FALL/WINTER 2023 RUNWAY SHOW

FALL/WINTER 2023 RUNWAY SHOW

IRENISA FALL/WINTER 2023 COLLECTION
RUNWAY SHOW “HAZY MOON”



自然界には、
はっきりとした形の物は無いのではないでしょうか。
刻々と変わる光、風、水。
樹皮や葉脈の色と形。
たったいまここにある音も含めて、
全てに「自然原理」の美しさがあります。
そこに「人の営み」が加わる事で生まれる美しさもあると、
私たちは感じています。
グラフィカルな生地やグラデーションのストールは、
京友禅の刷毛染めによって、
朧月の様に形が有る様で無い図案を描いています。
境界線をぼかしたニットの部分染め、
シャンブレーのウールギャバジンやウールメルトン、
カシミヤとウールのダブルフェイス。
染料の染み込みや、
糸と色の交わりによって生まれる素材の心地よい自然律。


私たちは“服飾造形作家”だと考えています。
自分達で線を引き、形を造ること。
人が布を纏うこと。
自然原理による布と人の身体が、
造形への道筋を教えてくれます。
私たちの手によって紡がれるカッティングには、
全てに意味があり、作り込まれた造形があります。
その構造を繊細な線で表現するために、
縫製職人に撚糸された糸を生地の断面に添えて、
かがり付けて布端の始末をしています。
自然原理と手の業に感銘を受けて、
今回のコレクションを作り上げました。

ショーを彩るのは、風に揺れる葉音や鳥の声など、
自然界の純粋な音。
人が雪の上を歩くきしみや弦楽器など、
人と自然の共存音。
そして人工的な電子音やノイズ。
目に映ることのないグラデーションは、
層を成した一枚の布のようです。

表面的な事だけに本質がある訳では無いのだと信じています。
朧げなその美しさを、人の知覚に訴えたいと、
私たちは強く思うのです。



小林祐   安倍悠治












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BEHIND THE SCENE
13th MARCH 2023 TOKYO
Photographed by JUN YASUI